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『ファンタスティック・プラネット』(ルネ・ラルー) レビュー
 悪夢のような美しさ


2014年7月
文・高松徳雄


1973年に制作されたアニメーション『ファンタスティック・プラネット』を見ました。
このアニメはフランスとチェコの合作で、監督はフランス人のルネ・ラルー。
この作品は同年のカンヌ国際映画祭で、アニメ作品としては初の審査員特別賞を受賞しています。

 


なんとなくその映像は見たことがあったのですが、どういうアニメか、いつ作られたものなのかなど、ほとんど知りませんでした。
私はてっきり、つい最近、少なくとも2000年以降に作られたアニメで、日本のアニメや、映画『マトリックス』の影響を受けて、そこにヨーロッパっぽい雰囲気を織り交ぜたアート系のアニメーション、という全く!間違った印象を持っていました・・・
ほんとに恥ずかしい。




▲原題『La Planete Sauvage』。直訳すると『野生の惑星』。日本語タイトルの「ファンタスティック」という言葉は原題にはありません。

見終わってから考えると、このアニメーションについて全く知らなかったというのはとても良かったことだと思います。どんな映画でもそうだと思います が、その映画について事前にいろいろと知ってしまっているより、まっさらな状態で映画を見た方が、その映画の良さというか、衝撃度がより増す気がします。 もちろん逆に、ほんとにつまらない映画だと、よりつまらなく感じると思いますが。



この作品は1973年に作られているので、日本のアニメはもちろん、世界のアニメや、そしてもちろん他の映画にも多大な影響を与えていることは間違いありません。奇妙な生物、そしてなにより、悪夢のようなストーリー・・・
物語は歯切れの良い展開の連続で、あっという間に見終わってしまいます。まさしく夢、白昼夢のような作品です。

見たことのない不気味なキャラクターたちとその動き、そしてもちろんそのストーリーによって、まさか40年以上前のアニメとは到底思うことができま せん。それらすべてが、いままで経験したことのないものばかりで、そう考えると、とても前衛的な作品、「幻想的」な、という言葉ではどこか物足りなさを感 じてしまう、これが前衛というものか、とつくづく実感することができる作品でもあると思います。

もしどこかで宇宙人と出くわしたり、あるいは突如タイムスリップをしてしまって、100万年後の地球に行ってしまったら、おそらく同じような感覚に 陥るのではないか、それほどまでに衝撃的なイメージの数々。この作品を小さいころに見たらトラウマになること間違いなし。大人が見てもその衝撃は計り知れ ません。



この作品は “ 伝説のカルトアニメ ” などと形容されているようですが、カルトどころか、古典的名作として、ずっとずっと残るアニメーションだと思います。
ようやくみることができたことに感謝!



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